甲種日本語アクセント辞典


甲種日本語アクセント辞典

 近畿方言(いわゆる関西弁)、土佐弁、阿波弁、愛媛県中予方言(松山~今治~西条)、福井県嶺南方言などで用いられる
 日本語の代表的アクセント体系のひとつである「京阪式アクセント」「甲種アクセント」「第一種アクセント」の学習教材用辞典Webサイト

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「な」で始まる単語のアクセント

「H」は高い音程、「L」は低い音程、「\」は核を表す。
一音節の単語のカッコ内は、伸ばして発音するときのアクセント型である。

(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)は、
現在の近畿中央部(京都南部~大阪北部)で失われた(単語によっては現存している場合もある)アクセントを示している。

近畿中央部におけるアクセント区別の一部崩壊は概ね近世辺りに生じたとされ、
特に現代の近畿本土では殆どの地域が近畿中央部と同様の状態に移行している。
(男・女など名詞の従来形は大阪南部や神戸を含め、近畿中央部以外での保存度が高いとも言われている。)

一方で、現在の和歌山県旧龍神村近辺・徳島県沿岸部・高知県中東部では
その従来アクセントが概ね強く保持されている(特に高知県中部)為、
この表記とした。



単語元表記など品詞アクセント備考用法解説
-な連語L条件を表す。否定「ぬ」+助詞「は」の合成語と思われる。もっぱら「ならん」「いかん」「あかん」などとセットで用い、「せねばならぬ」の砕けた形を作る。
-ないな終助LLL禁止の終助詞「な」を強めたもの。「そんなこと言いないな」「そんなもみないもん食べないな」
-なさる助動詞HHH派生形(なはる)も同様。異型HLLも許容する。
-なさる助動LLH/HHHHのあとではHHH、LのあとではLLH
-なんだ助動LLL過去否定形。全国共通語だが、助動詞「ない」の無い西日本語では、相対的に使用頻度が高い。語源に関しては定説がなく、不明。
-なんで助動LLL否定の助動詞「ん」のテ形。全国共通語だが、助動詞「ない」の無い西日本語では、相対的に使用頻度が高い。
H(HH)
H(HH)
H(HL/HH)90年代以前の世代ではHLとHHが混在。京都ではHHの頻度が上がる。 2000年代以降の世代では、ほぼHHに移行完了。
終助L土佐でのアクセントはH文末について禁止文を作る。これは近畿日本語特有の連用形命令用法にも適用される。ために、「食べな!」は命令文ではなく、穏やかな禁止文(「食べるな」の柔和な形)である。この区別は極めて厳格になされるため、十分に注意を要する。
L(LH)
ない地震HL廃語。
ない無いLH土佐弁※は殆どの地域でHL/HH(東洋町近辺はLH)、伊予弁※(松山・今治)でも揺れあり?
ナイカ内科HHHLLHも多く耳にする
ナイゾウ内蔵LLLH
ナイブ内部HLL
ナイメン内面LLLH
ナウいnowい形(俗)HLL廃語
なえLH
なおLH
なお猶・尚LH
なおかつ尚且LHLLLLHLも
なおす・なおさん治す・直す五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
「原状を回復する」が原義。近畿圏では応用範囲が広く、「収納する」「片付ける」の意も表す。
なかLH強勢形が一般化しつつあり、核の獲得が進行中。「中にLHL」
ながい長い・永いHLL
ながい長居LLH山型化LHLが主流になりつつあるが、混在している。
なかいと中愛LLLH「なかいとさんLLLLLH」の形が一般的。相手の娘(三人以上いるうちの、長女と末娘以外)に敬意と親しみを込めて言う。
ながおかキョウ長岡京地名HHHHHH
なかのしま中之島地名LLLLH①中洲の一般名称。大阪で「中之島」というと、②の意味を表すことが多い。 ②旧淀川の巨大な中洲。大阪市役所、日本銀行、図書館などの大型ビルが立ち並ぶ大都市。通称「水の都」。
なかみ中身LHL
なかみ中身LHL
ながら接助HHH/LLHHのあとではHHH、LのあとではLLH
なかんさん中んさんLLLLH「なかいとさん」の約まった形。
なぎ水葱・菜葱HL
なきごえ鳴き声・泣き声HHHL
なぎたおす薙ぎ倒す五段LLLLH
なぎはらう薙ぎ払う五段LLLLH
なく・なかん泣く・鳴く五段HH・HHH
なぐる・なぐらん殴る五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
なげ無げ形動ヤHL近年はあまり使われぬ。
なげる・なげん投げる下一段LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL
なごむ・なごまん和む五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
なごやか和やか形動ヤLHLL
なしHL
なす茄子HLLHも多く耳にする(東京式アクセントへの反発意識によって発生?)
なす那須地名HL
なすび茄子HLL本来は東京式と同じHLLであるが、山型化したLHLが主流になりつつある。
なぞHH
なだLH
なつHL
なつい懐い形(俗)HLL「懐かしい」の略。2000年代流行。
なっとう納豆HLLL最近では東京式アクセントと同じLLHLが広く聞かれる
など副助LL
なな数詞HL
ななふし七節HLLLLHLLも許容
ななめ斜め形動・名HHH
なに代・感LH
なにか何か連語LHL派生形(なんか)も同様
なにゲな何気ないLLHLL
なにゲに何気に副(俗)LLLH山型化したLHLLもあるが、あまり一般的ではない。
なにわ浪速・難波地名LLH
なぶる・なぶらん嬲る・嫐る五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
愚弄する。
なべLH
なまLH
なまえ名前HHH注意:接頭辞「お」を付ける場合はLLHL
なまくら鈍ら形動・名HHHH
なまクリーム生creamLLLHLL
なまずLLH
なみHH
なみHL
なみはや波速地名HHHH
なむ南無HL
なめくじ蛞蝓LLHL
なめらか滑らか形動・名LHLL
ならHL
なら奈良地名HL
ならなら副助・接HL/LLHのあとではHL、LのあとではLL
ならう・ならわん習う五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
ならす・ならさん鳴らす五段HHH・HHHH
ならす・ならさん均す・馴らす五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
なりHL
なり接助・並助LL
なる・ならん鳴る五段HH・HHH
なる・ならん成る・生る五段LH・LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)LH・HLL
京都にはHLLが現存?
なれる・なれん慣れる・馴れる下一段LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL
なわHL注意:「お」をつけるとLLHに変化
なわて地名(俗)LHL若者言葉。四條畷の俗称。若い世代のスラングであるため、常に山型化している。
ナンHL
ナンギ難儀形動ヤHLL
なんじHLL
なんしかLHLL「何はともあれ」の同義語。「何」+強意「し」+疑問「か」により構成される。 例)「何しか、右に曲がればええねんな?」「京都の土産は何しか高いね」
なんぞ何ぞ連語LLH「何ぞ役に立ちそうな論文は無いかいな?」
なんちゃあ何ちゃあLLHL土佐弁「何も」の意。例:「なんちゃあない」
ナンど納戸HHH
ナンド何度LLH
なんなと何なとLLHL「何なりと」の約まったもの。「ごはん炊けてんけど、おかず何ぞあったかいな?」「何なとあるやろう」
なんば難波地名HLL
なんぼ何ぼLLH「なんぼ何でもそれは無いで!」
単語元表記など品詞アクセント備考用法解説

「に」で始まる単語のアクセント

「H」は高い音程、「L」は低い音程、「\」は核を表す。
一音節の単語のカッコ内は、伸ばして発音するときのアクセント型である。

(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)は、
現在の近畿中央部(京都南部~大阪北部)で失われた(単語によっては現存している場合もある)アクセントを示している。

近畿中央部におけるアクセント区別の一部崩壊は概ね近世辺りに生じたとされ、
特に現代の近畿本土では殆どの地域が近畿中央部と同様の状態に移行している。
(男・女など名詞の従来形は大阪南部や神戸を含め、近畿中央部以外での保存度が高いとも言われている。)

一方で、現在の和歌山県旧龍神村近辺・徳島県沿岸部・高知県中東部では
その従来アクセントが概ね強く保持されている(特に高知県中部)為、
この表記とした。



単語元表記など品詞アクセント備考用法解説
-によーばんに及ばんLHHHH土佐弁「に及ばぬ」の音変化。「~する程ではない」の意。「動詞+によーばん」のように用いる。例:「そこまでするによーばんで(=そこまでする必要ないで、そこまでする程の事やないで)」
格助H
H(HH)
L(LH)若い世代ではH(HH)
L(LH)
ニイ二位HL
にいさん兄さんHLLL上方芸能などで、男性の先輩に親しみを込めて呼ぶ二人称代名詞としても使われる。「めだか兄さん(=池乃めだか 喜劇俳優)」
にえHL
におHL
におい匂ひHLL
において格助H+HLL→LHLL「に」のピッチが元来Hであるため、直前の単語に遅上がりが発生する。ただし、直後の「お」のピッチの影響で、「に」もLとなる。 「うさぎ LLH」 「うさぎ-に LLL-H」 「うさぎ-に-おいて LLL-L-HLL」
におう・におわん匂う五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
におぐ・におがん匂ぐ五段HHH・HHHH京都・滋賀方言
にがい苦いHLL
にがす・にがさん逃がす五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
ニクHL
にくい憎いHLL
にくしみ憎しみHHHH
ニクショク肉食名スルHHHH
にくそい憎そいHHLL和泉方言など。
にくたらしい憎たらしいHHHHLL
にくらしい憎らしいHHHLL
にげる・にげん逃げる下一段LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL
ニコ二個LH
にし西HH
にし辛螺HL
にじHH古形はHL。
にしホンガンジ西本願寺地名HHHLLLL
にしんLHL
にせもの偽物LLLHHHHHも耳にする
にた似た上一段PPHL土佐弁では「似ぃた(HLL)」「似ぃて(HLL)」のように長音化する
にた煮た上一段PPHL土佐弁では「煮ぃた(HLL)」「煮ぃて(HLL)」のように長音化する
ニチヨウ日曜HHHL
ニチヨウヒン日用品HHHHHH
にっきん日勤LLHL勤務形態のひとつ。
にっちょく日直LLLH
ニッポン日本地名HHLL
ニッポンばし日本橋地名HHHHLL/LLHLLL現在、HHHHLLからLLHLLLに移行中。大阪の地名。東京の秋葉原に相似するが、こちらは性犯罪の温床として知られており、単身行動は危険である。
にて格助HL
ニド二度副・名HL
になHL
にぬき煮抜きHHH東日本のゆで卵にほぼ相当。東日本のものより硬く、出汁を用いる場合もあるため、厳密には異なる料理だが、「ゆで卵」が借用語として定着しつつある。それにしたがい、「煮抜き」は廃語になりつつある。河内地方などで音便化して「にぬい」とも発音されることもある。
にぬきたまご煮抜き玉子HHHHLL「煮抜き」に同じ
にぶい鈍いHLL
ニホン日本地名HLL
ニホン二本LLH
ニホンシュ日本酒HHHH
ニュウカ入荷名スルLLH
ニュウガク入学名スルHHHH
ニュウコ入庫名スルLLH
ニュウシュ入手名スルHLL
ニョウボウ女房HLLL
にる・にん似る上一段HH
にる・にん煮る上一段HH
ニラHLHH/LHも聞かれ、揺らいでいる傾向?
にわHH
にわとりHHHH
ニンHL
ニンLH
ニンギョウ人形LLLH
ニンゲン人間LLLH
ニンシキ認識名スルHHHH
ニンチ認知名スルHLL
ニンチ認知名スルHLL
ニントクさん仁徳さん地名・人名HLLLLL仁徳天皇ないしその陵墓に比定される大仙陵古墳の愛称。
単語元表記など品詞アクセント備考用法解説

「ぬ」で始まる単語のアクセント

「H」は高い音程、「L」は低い音程、「\」は核を表す。
一音節の単語のカッコ内は、伸ばして発音するときのアクセント型である。

(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)は、
現在の近畿中央部(京都南部~大阪北部)で失われた(単語によっては現存している場合もある)アクセントを示している。

近畿中央部におけるアクセント区別の一部崩壊は概ね近世辺りに生じたとされ、
特に現代の近畿本土では殆どの地域が近畿中央部と同様の状態に移行している。
(男・女など名詞の従来形は大阪南部や神戸を含め、近畿中央部以外での保存度が高いとも言われている。)

一方で、現在の和歌山県旧龍神村近辺・徳島県沿岸部・高知県中東部では
その従来アクセントが概ね強く保持されている(特に高知県中部)為、
この表記とした。



単語元表記など品詞アクセント備考用法解説
-ぬ助動H未然形①に接続する場合はH、未然形②に接続する場合はL未然形①または未然形②に接続。
ぬいぐるみ縫い包みLLLLH
ぬう・ぬわん縫ふ五段LH・LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)LH・HLL
ぬかHH古形はHL。
ぬかす・ぬかさん抜かす五段HHH・HHHH
ぬき緯・貫HH
ぬく・ぬかん抜く五段HH・HHH
ぬくい温いHLL
ぬぐう・ぬぐわん拭ふ五段HHH・HHHH
ぬくめる・ぬくめん温める下一段HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHLL
ぬくもり温もりHHHH
ぬくもる・ぬくもらん温もる五段HHHH・HHHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHLL・HHHLL
大阪方言では、「浴槽に浸かる」ことを一語で意味する場合もある。
ぬける・ぬける抜ける下一段HHH
ぬしHL古形はLH。
ぬのHH
ぬまHL
ぬまえび沼蝦HHHH
ぬめる・ぬめらん滑る五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
ぬらす・ぬらさん濡らす五段HHH・HHHH
ぬる・ぬらん塗る五段HH・HHH
ぬれ濡れ動名詞HH
ぬれた濡れた下一段PPHLL
ぬれる・ぬれん濡れる下一段HHH
単語元表記など品詞アクセント備考用法解説

「ね」で始まる単語のアクセント

「H」は高い音程、「L」は低い音程、「\」は核を表す。
一音節の単語のカッコ内は、伸ばして発音するときのアクセント型である。

(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)は、
現在の近畿中央部(京都南部~大阪北部)で失われた(単語によっては現存している場合もある)アクセントを示している。

近畿中央部におけるアクセント区別の一部崩壊は概ね近世辺りに生じたとされ、
特に現代の近畿本土では殆どの地域が近畿中央部と同様の状態に移行している。
(男・女など名詞の従来形は大阪南部や神戸を含め、近畿中央部以外での保存度が高いとも言われている。)

一方で、現在の和歌山県旧龍神村近辺・徳島県沿岸部・高知県中東部では
その従来アクセントが概ね強く保持されている(特に高知県中部)為、
この表記とした。



単語元表記など品詞アクセント備考用法解説
-ねん終助LL終止形について、説明のモダリティを作る。類義表現「連体形+のや」が強意を含み、命令法的にも用いられるのに対し、「終止形+ねん」は強意を含まず、単純に説明のみを表す。cf.九州日本語「~ばい」。 注意:過去・完了の「た」と併用する場合、必ず縮約形「~てん」をとらねばならぬ。なお、「じゃ」「だ」には接続不可能。
動名詞H(HH)
H(HH)京都ではHL。こちらが古形?
H(HH)京都ではL(LH)も許容。
H(HL)
L(LH)
ねえさん姉さんHLLL上方芸能などで、女性の先輩に親しみを込めて呼ぶ二人称代名詞としても使われる。「やすえ姉さん(=未知やすえ 喜劇女優)」
ねがい願ひ動名詞HHL山型化あり。HLLも許容
ねがう・ねがわん願ふ五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
ねきHL「近く」の意。例「あの-ねきまで-行くねん HL-HLLL-HHLL」
ねきりむし根切虫LLHLL鱗翅目の幼虫のうちで、土中に棲息するもの。
ねこHL高知や徳島等ではLH(またはLH\)も多く聞かれる。神戸では混在
ねじ螺子HL
ねじまき螺子巻LLHL
ねじる・ねじらん捻る五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
ねじれる・ねじれん捻れる下一段HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHLL
ねずみLLH
ねそべる・ねそべらん寝そべる五段HHHH・HHHHH
ねた寝た上一段PPHL土佐弁では「寝ぇた(HLL)」「寝ぇて(HLL)」のように長音化する
ネツHL
ネッする熱するサ変LLLH
ネツゾウ捏造名スルHHHH
ねばる・ねばらん粘る五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
ネハン涅槃HHH
ねまる五段
ねむる・ねむらん眠る五段HHH・HHHH
ねや寝屋名・地名HL
ねり練・錬HL
ねる・ねん寝る下一段HH
ネンLH強勢形なし
ねんて終助LLH終助詞「ねん」に、伝聞の「て」が付いた形。正則通り、「た」に付く際は「てんて」と縮約が必須。
ネンレイ年齢HHHH
単語元表記など品詞アクセント備考用法解説

「の」で始まる単語のアクセント

「H」は高い音程、「L」は低い音程、「\」は核を表す。
一音節の単語のカッコ内は、伸ばして発音するときのアクセント型である。

(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)は、
現在の近畿中央部(京都南部~大阪北部)で失われた(単語によっては現存している場合もある)アクセントを示している。

近畿中央部におけるアクセント区別の一部崩壊は概ね近世辺りに生じたとされ、
特に現代の近畿本土では殆どの地域が近畿中央部と同様の状態に移行している。
(男・女など名詞の従来形は大阪南部や神戸を含め、近畿中央部以外での保存度が高いとも言われている。)

一方で、現在の和歌山県旧龍神村近辺・徳島県沿岸部・高知県中東部では
その従来アクセントが概ね強く保持されている(特に高知県中部)為、
この表記とした。



単語元表記など品詞アクセント備考用法解説
格助H
格助H
終助・体助L派生形(ん)も同様。
幅・布L(LH)
L(LH)
ノートnoteHLL
ノートパソコンnote pe-so-con-HHHHLLL
ノウHL
のうHL土佐弁では調子が悪い、使い勝手が悪いことを「能が悪い」と言う。混乱を避けるためアクセントをHHにする人もいる。
ノウHL
ノウゲ脳外名(俗)LHL脳神経外科の略。
ノウシンケイゲカ脳神経外科HHHHHHHL
ノウヒン納品名スルHHHH
ノウミン農民LLLH
のがす・のがさん逃す五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
のがれる・のがれん逃れる下一段HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHLL
のきHH
のぎ芒・禾HL
のく・のかん退く五段HH・HHH
のける・ぬれん退ける下一段HHH
のこす・のこさん残す五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
のこり残り動名詞LHL
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHL
のこりもの残り物HHHHH
のこる・のこらん残る五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
のざき野崎地名LLH
のし熨斗HL近年はHHが主流
のぞむ・のぞまん望む五段HHH・HHHH
のたまう・のたまわん宣ふ五段HHHH・HHHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHLL・HHHLL
のちHH
のっぺらボウのっぺら坊LLLHLL
ので接助LL
のと能登地名LH\
のどLH
のに接助LL
のばす・のばさん伸ばす五段HHH・HHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL・HHLL
のび野火LH\
のびる・のびん伸びる上一段LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL
のべ野辺LH\
のべる・のべん述べる下一段LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HLL
のぼる・のぼらん登る五段HHH・HHHH
のみHL
のみLH
のみあかす飲み明かす五段LLLLH
のむ・のまん飲む五段LH・LLH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)LH・HLL
のら野良LH\
のり則・法HL
のりHL
のりかえる・のりかえん乗り換へる下一段HHHHH
(近世近畿・紀州龍神・阿波・土佐)HHHLL
のりと祝詞HHH
のる・のらん乗る五段HH・HHH
のろい呪い動名詞HHH
のろう・のろわん呪ふ五段HHH・HHHH
のろう乗ろう五段(意)HHL
のん体助・終助LL「の」を強めた言い方。「これ、食べたらあかんのん?」「そこの丸いのん取ってんか」
のんもる・のんもらん呑んもる五段LLLH・LLLLH河内方言。「飲む」のぞんざいな言い方。
単語元表記など品詞アクセント備考用法解説